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ART PROGRAMアートプログラム部門

石垣昭子 from 紅露工房 Akiko Ishigaki from Kuuru Koubou
しまをまとう

総合ディレクターを初回から務める仲程長治さんの記録を通じて、西表島を拠点に活動する石垣昭子さんを知ったのは2年ほど前。村の人たちが天然の素材で復元した伝統衣装をまとう祖納の「節祭」と島の景色に圧倒され、導かれるように辿りついた紅露工房は、碧い空と海、そして深い森に抱かれた場所にありました。大自然から得られる豊かな素材を巧みに組み合わせながら創作を続ける昭子さんは、初対面にも関わらず目をキラキラと輝かせながら、今までの取り組みと、これから挑戦したい作品や活動についてお話され、今回のプロジェクトに繋がっていきます。
「しまをまとう」では、先日逝去された喜如嘉の平良敏子さんが西表島に招かれて開催した講習会に参加した昭子さんが、その後すぐに制作に取り組んだ芭蕉のタペストリーに始まり、それから創作を続けてきた芭蕉や苧麻、絹などを組み合わせた交布、そしてやんばるに向けて新たに制作した黒のスディナまでを展示することで、昭子さんの創作の変遷を追います。
また、祖納公民館に保管されていた城間紅型の緞帳幕や、昭子さんが受け継いだ昔のスディナ、西表島の映像記録などを組み合わせながら、西表島の景色をやんばるに立ち上げ、そして紅露工房から巣立った多くの人たちのその後の活動を紹介することで、西表島から広がる「しまをまとう」世界をやんばるに展開します。

展示企画:金島隆弘  展示監修:仲程長治

  • 石垣昭子 Akiko Ishigaki from Kuuru Koubou

    PROFILE

    染織家。1938年 沖縄県竹富島生まれ。1959年 女子美術短期大学服飾科卒業。 1970年 京都で志村ふくみ氏に師事し、1980年 西表島にて夫の石垣金星氏と共に紅露工房を開設。 途絶えていた島の染織を掘り起こし、伝統衣装の復元や手仕事センターの設立に携わる。 1992年 三宅一生氏のコレクションを通じて紅露工房の仕事が広く知られるようになり、1996年「原口理恵基金・ミモザ賞(真のファッションを裏で支える担い手を表彰)」を受賞。1998年 テキスタイルデザイナーの真木千秋、服飾デザイナーの真砂三千代とのコラボレーションブランド「真南風(マーパイ)」を発表し、1999年 ニューヨーク近代美術館(MOMA)にて「現代日本のテキスタイル展」に出展。西表島の自然と共にあるその暮らしと仕事が注目され、「地球交響曲第5番」(2004年、龍村仁監督)や、フランス国営テレビで放映された「AU FIL DU MONDE -JAPON-」(2017年、Jill Coulon,Isabelle DepuyChavanat)、「生生流転(2021年、仲程長治監督)」など数々のドキュメンタリー映画にも出演している。

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