ARTIST

ART PROGRAMアートプログラム部門

山内祥太 Shota Yamauchi
Requiem

本作は、「ブレーメンの音楽隊」を下敷きに制作した映像作品です。
作品を構成する4つのモニターにはそれぞれブレーメンの音楽隊に登場する、ロバ(ドラゴン)、犬、猫、鶏が映し出されています。
通話ソフトである“skype”と“Face rig”というバーチャルアバターソフトを連動させたパソコンを4台同時に起動させ、それを自宅の様々な部屋に設置し、撮影を行いました。
映像の冒頭ではキャラクターが全画面に映し出されているため、4人で会話しているように思われますが、実は話者は2人しかおらず、2人が部屋を移動しながらキャラクターを演じていることが、映像の中盤でカメラのモードが切り替わることで分かります。
2人はなるべく会話をスムーズに進めるために、部屋をできる限り急いで移動し、役を演じようとします。
同じ空間にいるのにもかかわらず、なぜ2人は通話ソフトを介して会話しているのか。またなぜ4人ではなく2人で役を演じているのか。
この2重の矛盾する構造に、私は映像のリアリティとフィクションを見出しています。
ブレーメンの音楽隊は長年家畜として使われ、歳をとった動物たちが、第二の人生を求めてブレーメン(ユートピア)に向かうお話です。
人間社会から飛び出して自分たちのユートピアを求める動物たちの姿にアーティスト活動を行う、自分自身の姿を重ね合わせることができるのではないかと思い、題材に選びました。
最後のシーンで一部屋にパソコンを集めることでハウリング(共鳴)を意図的に発生させ、私が創作したブレーメンの音楽隊は“ノイズミュージック”を奏でました。

  • 山内祥太 Shota Yamauchi

    PROFILE

    1992年岐阜県生まれ、神奈川県在住。 2014年金沢美術工芸大学彫刻科卒業、2016年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。 主な個展に「第二のテクスチュア(感触)」GalleryTOH(東京、2021年)、「Ballet Mécanique」RICOH ART GALLERY(東京、2022年)、「愛とユーモア」EUKARYOTE(東京、2022年)など。主なグループ展に「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京、2019年)、「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」ワタリウム美術館(東京、2022年)、「リボーンアート・フェスティバル2021-22」(宮城県、2022年)、「アルスエレクトロニカ・フェスティバル2022」(オーストリア、リンツ、2022年)など。 主な受賞歴に「TERRADA ART AWARD 2021」金島隆弘賞・オーディエンス賞、「第25回文化庁メディア芸術祭」アート部門優秀賞など。

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